【上下(ショウカ)心を一(イツ)にす】と訓読みされまして、身分の上下を問わず、心を一つにして事に当たること、をいいます。また、目的を果たすためには地位や身分にこだわらず、団結すること、という意味でもあります。
前漢の武帝の頃、淮南王(ワイナンオウ)劉安(リュウアン:B.C.179年~B.C.122年)が学者を集めて編纂させた思想書を『淮南子(エナンジ)』といいます。
【上下一心】は、『淮南子』の詮言(センゲン:解説の意)訓に出ています。
全ての人が団結して取り組めば、どんな困難も乗り越えることができるという教えでもあります。
『淮南子』は、かなり古い時代から日本へ入ったため、漢音の「ワイナンシ」ではなく、呉音の「エナンジ」で読むのが一般的です。
若誠外釋交之策、而慎修其境內之事。
若し誠に外交の策を釋(す)てて、慎(つつし)みて内政を行い、
盡其地力、以多其積、
国の生産を尽くし、貯えを豊かにし
厲其民死、以牢其城、
民に死力を尽くさせて城を堅固にし、
上下一心、君臣同志、
上下の人が心を合わせ、君臣が志を同じくして、
與之守社稷、斅死而民弗離、
ともに社稷を守り、たとえ死に斅(いた)っても民が離れないようであれば、
則為名者不伐無罪、
名を上げようとして(その国を攻めるものは)討伐の名分がないとして、
その国を攻めることはしない
而為利者不攻難勝、
利益を得ようとして(その国を攻めるものは)勝算がないとして、
その国を攻めることはしない
此必全之道也。
これこそが、完璧に国を全うする道である。
『荀子』富国篇第十にも【上下一心】の記載があります。
【上下】を【ショウカ】と読むのは漢音読みです
【ジョウゲ】と読むのは呉音読みです