【一饋に十たび起(た)つ】と訓読みされまして、一度の食事の間に十回も立ち上がって、国民を慰め労った、と言う意味です。
【一饋に十たび起つ】て、国民を慰め労った、のは『十八史略』での記載で、『淮南子』にも同じ四字熟語【一饋十起】がみえますが、こちらは賢人を求めるのに熱心な様子を表すのに使われています。
『十八史略』の【一饋十起】を記載します。
声為律、
声は律と為り、
(禹の)ことばは、それをそのまま法律にして(も差し支えないほど立派であり)
身為度、
身は度と為り、
(禹の)行いはそのままに人の模範で、
左準縄、
準縄を左にし、
水準器と墨縄を左手に持ち
右規矩。
規矩を右にす。
コンパスと定規を右手に持ち
一饋十起、
一饋に十たび起ち、
一度の食事の間にも十回も立ち上がって
以労天下之民。
以て天下の民を労(ねぎら)ふ。
天下の人民を慰め労った。