赤い花が咲き乱れ、緑の葉が風に舞うようすを表した言葉です。
唐の柳宗元(リュウソウゲン)の『袁家渇(エンカカツ)の記』という山水遊行の文の中にでてきます。
柳宗元)は、「貞元(テイゲン)の改革」(805年)で失脚し、永州(湖南省零陵)に左遷されてしまいました。
当時、南方の地は瘴癘(ショウレイ:熱病をおこす毒気)の僻地(ヘキチ)と恐れられていました。
柳宗元も初めは絶望と悲嘆に明け暮れしていましたが、しだいにあきらめて、その地の山水に美しさをみいだし、風景描写に融合させて、詩情あふれるみごとな文章を作りました。
それが『永州八記』と言われる、八つの「遊行文」です。『袁家渇記』はその中の一つです。
長い文書です、【紛紅駭緑】の前後を少々。
毎風自四山而下、振動大木、掩苒衆草。
風四山よりして下る毎に、大木を振動(ふる)い、衆草を掩苒(エンゼン)す。
風が四方の山から吹き降ろすたびに、大木を揺らし、あらゆる草を吹きなびかす。
紛紅駭緑、蓊葧香氣。
紛紅駭緑、蓊葧(おうぼつ)して香気あり。
紅花咲き乱れ、緑葉ひるがえり、盛んに香気を放つ。
衝濤旋瀬、退貯谿谷、
衝濤旋瀬(ショウトウセンライ)、退いて谿谷に貯え、
突き当たる波、渦巻くはやせは押し戻されて谷に貯まり
揺颺葳蕤、與時推移。
葳蕤(イスイ)を揺颺(ヨウヨウ)して、時と与(とも)に推移す。
美しき草木の茂みを揺り動かし、時につれて移り変わる。
5月4日は 自然に親しみ、自然の恩恵に感謝しましょうということで【みどりの日】です。