相手に気づかれないように、静かに馬に鞭を打つ様子を表しています。
頼山陽の「不識庵(フシキアン)機山(キザン)を撃つの図に題す」という長い題の詩です。
「不識庵」は上杉謙信の法号で、「機山」は武田信玄の法号です。
「川中島の戦い」は5回ありまして、その中の4回戦目がとくに有名です。
馬上の謙信が、几上で軍扇片手の信玄に斬りかかる場面があります。これを元にして頼山陽が
「不識庵機山を撃つの図に題す」という七言絶句の詩を作りました。
鞭聲粛粛夜過河
鞭聲(ベンセイ)粛々(シュクシュク)夜河を過(わた)る
暁見千兵擁大牙
暁に見る千兵の大牙(タイガ)を擁(ヨウ)するを
遺恨十年磨一剣
遺恨(イコン)十年一剣を磨(みが)き
流星光底逸長蛇
流星(リュウセイ)光底(コウテイ)長蛇(チョウダ)を逸(イッ)す
頼山陽は、[日本外史]を表して一躍有名になりました。