【春風は人を和す】と訓読みされまして、そよそよと吹く春風は人の心をやわらげるという意味です。
佐藤一斎先生『言志耋録』85条に、『礼記』の【風雨霜露も教えでないものはない】ということをわかりやすく解説した文章の原文として【春風以て人を和し】として出ています。
春風以和人。雷霆以警人。
春風以て人を和し、雷霆(ライテイ)以て人を警(いまし)め、
春風は人の心を和らげ、雷鳴は人の心を戒め
霜露以粛人。氷雪以固人。
霜露(ソウロ)を以て人を粛(シュク)し、氷雪以て人を固(かた)うす。
霜や露は人間の心を引き締め、氷雪は人間の心を堅固にさせる。
風雨霜露無非教。謂此之類也。
風雨(フウウ)霜露(ソウロ)も教(おしえ)に非(あら)ざる無し、とは、
此の類を謂うなり。
(礼記に)風雨や霜露も教えでないものはない、とあるのは、以上述べたことと同類だ。