何かを成し遂げるにあたって、あれこれと心を砕いて計画を立てることを表します。
【慘憺経営】とも言われます。
【経営】は、【経】が本来縦糸を表しまして、織物を作り上げていくプロセスも表しています。営】が工夫する、計画するという意味もありますから
結局【経営】の意味は、何かを成し遂げるために、いろいろ計画を立てそれを実行すると云う意味になります。
【慘憺】は、①薄暗い、②物寂しい、③いたましく悲しい、④心を悩ます、苦心する などの意味があります。【経営慘憺】の場合は、④心を悩ます、苦心する の意味になります。
古くは、『詩経・大雅・霊台』に、経之営之:これを経しこれを営す 、と出ているのが【経営】の最初のようです。【経営慘憺】、【慘憺経営】は、杜甫の『丹靑引』という、7言×40句の詩の名にでてきます。17句から24句を記載します。
17 先帝伝馬玉花驄
先帝の伝馬 玉花驄(ギョクカソウ)
先帝(玄宗)の御馬に「玉花驄」という馬がいました
18 畫工如山貌不同
画工山の如く貌すれども同じからず
山ほどたくさんの画工が描いたが本物とは大分違う
19 是日牽來赤墀下
是の日 牽(ひ)き来たる赤墀【せきち】の下、
その日、赤い石畳の下、「玉花驄」引き出され
20 迥立閶闔生長風
迥(はる)かに閶闔【しょうこう】に立てば長風を生ず。
遠く宮門に立つ「玉花驄」、逸物ゆえのつむじ風、
21 詔謂將軍拂絹素
詔して将軍に謂う絹素【けんそ】を払えと、
そのとき天子は将軍に、白絹に馬のさまを描かれよ、と。
22 意匠慘澹經營中
意匠惨澹【さんたん】たり経営の中【うち】。
これをうけて将軍は、惨澹と苦心の工夫をこらして構図した。
23 斯須九重真龍出
須臾【しゅゆ】にして九重に真竜出づ、
やがて九重の奥に、本物と紛うかたなき竜馬なり。
24 一洗萬古凡馬空
万古の凡馬を一洗して空し。』
万古の凡馬、一掃の内。