花びらが、一面に、散り乱れる様子を表した四字熟語です。
【落花狼藉】は、平安時代 大江朝綱(おほえのあさつな)、『惜殘春』の七言律詩に初出する、
和製四字熟語です。
【落花】は、花が散って地面に落ちることを表します。
【狼藉】の、【藉】は、敷物と言う意味と、乱れるという意味があります。
狼が草を敷いて寝た跡は秩序なく入り乱れている、というのが【狼藉】の意味です。
【落花狼藉】を女性に乱暴を働くことの意味で使うのは、日本独特の使い方です。
大江朝綱の「惜残春」を記載します。口語訳は私『八重爺:やえじい』の私訳です。
艶陽盡處幾相思
艶陽(エンヨウ)尽くる処 幾(いく)たびか相ひ思ふ
晩春も尽きるころ 幾たびも思う
招客迎僧欲展眉
客を招き僧を迎へて 眉を展(のべ)んと欲す
客を招き 僧を迎えて 憂いを晴らす
春入林歸猶晦跡
春は林に入りて帰る 猶(な)ほ跡晦(かす)かなり
春は林の中に帰り それでも名残はかすかなり
老尋人到詎成期
老は人を尋ねて到ること詎(なん)ぞ期を成さん
老いは人を尋ねてやって来る 会うことなどはとんでもない
落花狼藉風狂後
落花狼藉たり 風狂じての後
花びら一面乱れ散り、風の気ままのなせるわざ
啼鳥龍鐘雨打時
啼鳥(テイチョウ)龍鐘(リョウショウ)たり 雨打つの時
啼鳥の疲れ果てるは、晩春の雨のせい
樹欲枝空鶯也老
樹は枝空(むな)しからんと欲して 鶯も也(ま)た老ゆ
木々は花を散らして 枝をむなしくし 枝にとまるは老いた鶯
此情須附一篇詩
此の情須(すべか)らく一篇の詩に附す
この晩春の思い 一篇の詩に。