桜の花が、咲き乱れる様子を表す四字熟語です。
【桜】:バラ科の落葉高木。日本の国花です。春の季語です。桜の花の後につく果実、「桜の実」は
夏の季語になります。中国では「ゆすらうめ」を表すようです。
【花】:「はな」を表す漢字は「華」です。「蕐」とも書いていたようです。どちらにしても、画数が多い字
です。 だからという訳でもないでしょうが、五世紀ころ「艸(くさかんむり)」と「化」の音の合成
で「花」の字ができたようです。「くさが化けると花になる」 という訳ではありません。
【桜花】:①ゆすらうめ。②さくら。日本で「桜花」と言えば「桜の花」で問題ないのですが、中国では
「ゆすらうめ」を指すようです。
李煜(リイク:五代、南唐の後主)の詩に
『櫻花落(ち)り盡(つく)して、階前(カイゼン)に月あり』という章句があります。
【爛】:爤が本字と言われています。意味は①煮る。②ただれる。③かがやく。④あざやか。があり
ます。火の右側の門の中は柬です。東ではありません。金蘭、欄干、波瀾みな本来は
柬です。
【漫】:多くの意味があります ①水の果てしなく広いこと、②みなぎる、③しまりがない、
④みだれる、⑤みだりに、⑥そぞろに。
「曼」を含む字は 幔幕、自慢、蔓延(マンエン)、饅頭(マンジュウ)、鬘(マン:かづら)、
鰻(マン:うなぎ)などがあります。
【爛漫】:ひかりかがやく様子、咲き乱れるさま を表します。
王安石(オウアンセキ:北宋の政治家・文学者 )の詩に
『花鳥は総(す)べて知る 春の爛漫たるを、人間(ジンカン)には独り自(みずか)ら傷心有り』という章句があります。
華やかな春の中にあって、それを楽しむ花鳥の世界と、いつも感傷がつきまとう人の世とを対比して詩句にしたものです。
【爛漫】は他の多くの詩に詠み込まれています。
「さくら」を意識しての【桜花爛漫】は日本で作られた四字熟語のような気がします。
原発事故のため、人が立ち入れない地域があります。避難指示区域です。
福島県内でも有数の桜の名所『夜の森公園』が避難指示区域になっています。今年も【桜花爛漫】の「桜のトンネル」の映像が流れていました。 人は誰も映っていませんでした。