あっさりとしてものに拘(こだわ)らない、無欲な人を言います。
【澹】は、氵+詹(タン) から作られた形声文字で、
意味は「あわい。うすい。あっさりしている」です。「淡」と同義です。
【泊】は、氵+白(ハク) から作られた形声文字で、
意味は「静か。心が静かであっっさりしていること」です。
【澹泊】は、「淡泊」と同じで、
① 心が静かで安らかであること、
② 静かに落ち着いていて心を外に表さぬこと、
③ あっさりとして無欲なこと。
【澹泊之士】の場合は③の意味になります。
澹泊之士、必為濃艶者所疑。
澹泊(タンパク)の士(シ)は、必ず濃艶(ノウエン)なる者に疑われ、
あっさりとして無欲な人は、きっと派手で物に執着する人から疑われるものであり、
檢飭之人、多為放肆者所忌。
檢飭(ケンチョク)の人(ひと)は、多く放肆(ホウシ)なる者に忌(い)まる。
また正しく厳格な人は、多くの場合勝手気ままな人からは嫌われるものである。
君子処此、固不可少変其操履、
君子は此れに処するに、固(もと)より少しも其の操履(ソウリ)を変(か)うべからず、
上に立つ者は、これらの人に対処するときは、
当然、その主義主張を少しでも変えてはならない。
亦不可太露其鋒芒。
亦(また)、太(はなは)だしくは其の鋒芒(ホウボウ)を露(あら)わすべからず。
また、その鋭いほこさきもあまりに見せすぎてはいけない。
『菜根譚』前集99を出典としています。