車をひっくり返すような、暴れ馬のことを言います。『漢書』武帝紀では常軌に従わない英雄のたとえとして出ています。
【泛駕之馬】もうまく使うことによってよく走る馬になるということが『菜根譚』前集78條のお話になっています。
泛駕之馬、可就駆馳。
泛駕(ホウガ)の馬も、駆馳(チク)に就(つ)くべく
馬車をはねとばすような暴れ馬でも、
馭者しだいでよく走らせることができるし、
躍冶之金、終帰型範。
躍冶(ヤクヤ)の金(キン)も、終(つい)に型範(ケイハン)に帰す
扱い辛い金属も、上手な鋳物師のてにかかると、型におさまる。
只一優游不振、
只(ただ)一(いつ)に優游(ユウユウ)して振(ふる)わざれば
ただぐずぐずと毎日を過ごしてばかりいて、何ら奮起もしないような人間は
便終身無個進歩。
更(すなわ)ち終身(シュウシン)個の進歩無し。
そのまま生涯少しの、進歩もなく終わってしまう
白沙云、為人多病未足羞。
白沙(ハクサ)云(い)う、「人と為(な)り多病なるは、未だ羞(は)ずるに足らず、
白沙が言うには、生れながらに病弱なのは、ちっとも恥ずかしいことではない。
一生無病是吾憂。 真確論也。
一生病無きは、是れ吾(わ)が憂(うれ)いなり、と。 真(まこと)に確論なり。
(むしろ)生涯、病気をしないで、病気の苦しみを知らないほうが心配だ、と
(白沙が)言った事は本当だ。