緩やかな曲線をした美しい眉。美人の眉、とくに楊貴妃のことを言います。
古代中国では、蛾の触覚(觸覺)のような眉が美人の条件だったようです。
白居易『長恨歌』の言葉です。7言×120句のうち、35句目から42句目を記載しました。
35 翠華搖搖行復止、
翠華(スイカ)揺揺として行きて復(ま)た止まる
翡翠を飾る御旗は、進みて止まり
36 西出都門百餘里
西のかた都門を出でて百余里
進みあぐねて西の方、門を出でて百里なり。
37 六軍不發無奈何、
六軍発せず奈何(いかん)ともする無く
護衛の軍が足を止め、どうすることもままならず。
38 宛轉娥眉馬前死
宛転たる蛾眉(がび)馬前に死す
眉美しき楊貴妃は、あわれ馬前に命を落とす。
39 花鈿委地無人收、4
花鈿(かでん)地に委(す)てられて人の収むる無し
花のかんざし、捨てられて、拾う人無き悲しさよ。
40 翠翹金雀玉搔頭
翠翹(スイギョウ)金雀(キンジャク)玉搔頭(ギョクソウトウ)
翠翹、金雀、玉搔頭、
41 君王掩面救不得、
君王面を掩(おほ)ひて救い得ず
帝はただに俯いて、おのれの無力を恨むのみ。
42 回看血涙相和流
迴(かえ)り看れば血涙相和して流る
かえりみすれば、落ちる涙は血の涙。