洗練されていない、調子の狂った乱雑な音のこと、を言います。
また、小さな子どもたちが、やかましく騒ぎ立てている声のことも言うようです。
【嘔】は、①うたう、②子供の話す声、③よろこぶさま、④はく の意味があります。
【啞】は、①話すことができないこと、またその人。②発語のア。
【嘔啞:オウア】は、調子はずれの管弦の音。
【嘲】は、①あざける、②たわむれるの意味があります。
【哳】は、鳥の声などがすっきりしない様子。人の声、楽器の音などについてもいうようです。
【嘲哳:チョウタツ】は、鳴り物の音の調子はずれで下品な樣を言います。
白居易が江州に左遷された翌年の元和十一年(816、46歳)、友人を送る途中、琵琶を彈く夫人と遭遇し、その夫人の身の上話を聞くうちに、自らの流謫の身の上の悲哀を感じ『琵琶行』を作りました。
『琵琶行』は7言×88句の長編です。75句から82句までを記載しました。
75 春江花朝秋月夜 春江の花の朝 秋月の夜
春の水辺に花咲く朝、秋月のさえる夜
76 往往取酒還獨傾 往往酒を取って 還(ま)た獨り傾く
そんな時には酒を手に、独り盃 傾ける
77 豈無山歌與村笛 豈に山歌と村笛と無からんや
山家(やまが)の歌や、村笛も、無いわけでは無いけれど、
78 【嘔啞嘲哳】難爲聽 嘔啞嘲哳 聽くを爲し難し
耳障(ざわ)りで聴くには堪えぬ
79 今夜聞君琵琶語 今夜 君が琵琶の語を聞いて
今宵あなたの琵琶の音を聞いて
80 如聽仙樂耳暫明 仙樂を聽くが如く 耳暫らく明らかなり
まるで仙界の楽に触れたかのように、しばし耳が洗われました
81 莫辭更坐彈一曲 辭する莫かれ 更に坐して一曲を彈け
帰らないでくれ、坐りなおしてもう一曲。
82 爲君翻作琵琶行 君が爲に 翻して作らん琵琶行
あなたのために曲を詩に換えて「琵琶行」を作りましょう。