はなはだ無礼なことを表した言葉です。
【袒】は、衤+旦(音符号:タン) から作られた形声文字です。
意味は、はだぬぐ。着物を脱いで肩を出す。
【裼】は、衤+易(音符号:セキ) から作られた形声文字です。
意味は、はだぬぐ。着物を脱いで肩を出す
【裸】は、衤+果(音符号:ラ) から作られた形声文字です。
意味は、はだか。はだかになる。
【裎】は、衤+呈(音符号:テイ) から作られた形声文字です。
意味は、はだか。はだかになる。
『孟子』公孫丑章句上にでている四字熟語です。
潔癖症の伯夷(ハクイ)と無神経の柳下惠(リュウカケイ)を比較して述べているところで、【袒裼裸裎】は
柳下惠を評しているときにでてきます。
柳下惠不羞汙君。
柳下惠は汙君(オクン)を羞じず。
柳下惠は不徳の君でも平気で仕えるし、
不卑小官。
小官を卑(いや)しとせず。
どんなつまらぬ官職でもいっこう恥じたりはしない。
進不隱賢、必以其道、
進(すす)められては賢を隱さず、必ず其の道を以てし、
推薦されて仕える以上は、ひたすら才智を傾けて働き、
常に自分の信ずる道を行った
遺佚而不怨、阨窮而不憫。
遺佚(イイツ)せらるるも怨みず、阨窮(やくきゅう)すれども憫(うれ)えず。
主君に見捨てられても別に怨みもせず、
どんなに困っても少しもそっれを苦にしなかった。
故曰、爾爲爾、我爲我。
故に曰く、爾(なんじ)は爾たり、我は我たり。
だから、彼は、他人は他人、自分は自分だ。
雖袒裼裸裎於我側、爾焉能浼我哉。
我が側(かたわら)に【袒裼裸裎(はだぬぐ)】と雖も、
爾焉(いずく)んぞ能(よ)く我を浼(けが)さんやと。
たとえ自分の前で他人が肩脱ぎになろうと、まるはだかになろうと、
なにも自分はそのために汚されはせぬ。
故由由然與之偕而不自失焉。
故に由由然(ゆうゆうぜん)として之と偕(とも)にして、自ら(その正しき心を)失わず。
それだから、彼はどんな者といっしょにいても(いやな顔をせず)楽しそうで、
しかも自分の正しい本質を失わない男であった。