高い岸が崩れて谷となり、深い谷が埋もれて丘にかわるような天変地異が起こったことを表した四字熟語です。
紀元前780年、周の幽王(ユウオウ)の2年に、涇水(ケイスイ)、渭水(イスイ)、洛水(ラクスイ)の三川地方に大地震が起きました。そのことで、『詩経』小雅・十月之交という、4字×65句の詩が作られました。
この三川地震のことは、『史記』周本紀にも詳しく出ています。
周代の人たちは、洪水や地震が起こるのは、為政者が善政を行わないからで、国の亡びる前兆だ。と考えていたようです。
燁燁震電
燁燁(ヨウヨウ)たる震電、
ピカピカと光る稲妻に、ゴロゴロ鳴る雷
不寧不令
寧(やす)からず令(よ)からず。
不安で不吉だ
百川沸騰、
百川沸騰し、
多くの川はあふれ
山冢崒崩。
山冢(サンチョウ)、崒崩(シュッホウ)す
山の頂きも崩(くず)れ落ちる。
高岸為谷、
高岸は谷となり、
高い崖は谷となり
深谷為陵。
深谷(シンコク)、陵(リョウ)となる。
深い谷は岡となる。
哀今之人、
哀れ 今の人、
哀れなものよ、今の人(為政者)は。
胡憯莫懲。
胡ぞ憯(かっ)て懲(こ)ること莫し。
どうして反省せず懲りないのか。