【小心】は、本来 注意深い心、つつしみ深い心を言います。もちろん小さい心と言うことから気が小さいの意味もあります。
【翼翼】は、 親鳥が雛鳥を翼で注意深く守る意味から、敬いつつしむ様子を言います。
【小心翼翼】は、つつしみ深く、小さなことまでよく気を配ることを、表すのが本来の意味でした。
いつの間にか、気が小さく、びくびくしている様子を表すようになってしまいました。現在はもっぱら、ビクビクの方で使われることが多いようです。
【小心翼翼】の実例と言いますか、出典は古く『詩経・大雅』です。
周の文王を讃えて、
『これこの文王、小心翼翼たり。昭(あき)らかに上帝に事(つか)え、ここに多福を懐(おも)えり』
文王は慎み深く細かいことにも気を配り、天の神につかえ人民の幸福を願った。
その結果、周辺の国々も周に服属しました、と言う詩の一部分にこの【小心翼翼】が本来の意味で記述されています。
又、『詩経』の他のところで、西周の宣王(センオウ:B.C.827~B.C.782)の宰相を務めた仲山甫(チュウザンホ)が細心の注意をはらって職務遂行に当たったことをほめて
『茲(ここ)に天子を保(やす)んじて、仲山甫を生ず。仲山甫の德は、柔嘉(ジュウカ)にして維(こ)れ則(のっと)る。儀を令(よ)くし色を令(よ)くし小心翼翼たり』
周の天子を守るべく天は仲山甫を生んだ。仲山甫の徳は優しく、分け隔てなく、周国の模範である。
威儀を正し容色麗しく、心こまやかで注意深い
『小心翼翼とした態度』の場合は、『気が小さくびくびくしている様子』が現代の解釈です。