女の子が誕生した喜びを表しています。「弄瓦」は糸巻きを玩具にすることです。
古来中国では、女の子が生まれると地に寢かせ、裼(むつき)を着せて、瓦(いとまき)を玩具として与えました。
普通の女の子で、家事がよくできて、お父さんお母さんに心配かけない、そんな女の子になってちょうだい。
というようなことが『詩経』小雅・斯干(シカン)に謳われています。
【弄】は、両手で玉を持って遊ぶ意味を表します。
そこから「もてあそ・ぶ」、「いじ・る」、「まさぐ・る」という意味を表すようになりました。
部首は「廾:にじゅうあし」です。この字の形が、にじゅう「二十」を表す字と似ているので、
「にじゅうあし」という部首名で呼ばれますが足とは関係がありません。
【瓦】は、糸を紡ぐ土製の道具です。
『詩経』は、西周初期(B.C.1100年ころ)から春秋半ば(B.C.600年ころ)の古代中国の詩集です。
当時の風俗・習慣が垣間見られます。
『詩経』の小雅篇に、宮殿の新築落成記念をうたった「斯干:シカン」という、4言×53句から構成された詩があります。この詩の後半35句目から53句目に、当時の風俗・習慣による赤ちゃんの育て方が歌われてます。
35)大人占之、 夢占い 之を占う
36)維熊維羆、 くま ひぐま
37)男子之祥、 男の子のきざし
38)維虺維蛇、 まむし へび
39)女子之祥。 女の子のきざし
40)乃生男子、 もしも男(お)の子が生まれたら
41)載寢之牀、 牀(ショウ:寝台)に寢せ
42)載衣之裳、 晴衣を着せて
43)載弄之璋、 璋(たま)を手に遊ばせる
44)其泣喤喤、 その泣き声も元気よく
45)朱芾斯皇、 やがては朱芾(シュフツ:赤いひざかけ。高位)に煌(かがや)けり
46)室家君王。 末は高貴に昇るべし
47)乃生女子、 もしも女(め)の子が生まれたら
48)載寢之地、 地に寢かせ
49)載衣之裼、 裼(むつき) 着せ
50)載弄之瓦、 瓦(糸巻きの玩具)を手に遊ばせる
51)無非無儀、 よくも無く あしくも無く
52)唯酒食是議、 日々の炊事が出来ればよし
53)無父母詒罹。 父母に心配かけぬよう。