【人の心をして粛(シュク)ならしむ】と訓読みされまして、人の心を引きしめる、という意味の言葉です。
佐藤一斎先生『言志録』第41条に、何が【使人心粛】させるのか述べられています。
富貴、喩則春夏也。使人心蕩。
富貴は喩えば則ち春夏なり。人の心をして蕩(とろか)せしむ。
金持ちとか身分が貴いとかは、喩えると春や夏の気候のようなもので、
人の心をとかす、すなはちダメにしてしまう。
貧賤、喩則秋冬也。使人心粛。
貧賤は喩えば則ち秋冬なり。人の心をして粛(シュク)ならしむ。
貧乏であるとか、身分が低いとかは、喩えると秋や冬の気候のようなもので、
人の心を引きしめる。
故人於富貴則溺其志、
故に富貴に於ては則ち其の志を溺(おぼ)らし、
すなはち人は富貴にあってはその志を薄弱にし、
於貧賤則堅其志。
貧賤に於ては則ち其の志を堅(かた)うす。
貧賤にあってはその志を堅固にする。