罪の無い者をわざと捕らえて罪をでっちあげることを表します。
【羅】は、網にかけて捕らえるという意味があります。
【織】は、おる、組み立てるの意味があります。
【虛構】は、つくりごとです。
【羅織虛構】は、作りごとを組み立てて、それを網かけて捕らえるという意味になります。
『吾輩は猫である』第十章にでています。
もし主人が警視庁の探偵であったら、人のものでも構わずに引っぺがすかも知れない。
探偵と云うものには高等な教育を受けたものがないから事実を挙げるためには何でもする。
あれは始末に行(ゆ)かないものだ。願くばもう少し遠慮をしてもらいたい。
遠慮をしなければ事実は決して挙げさせない事にしたらよかろう。
聞くところによると彼等は【羅織虚構】をもって良民を罪に陥れる事さえあるそうだ。
良民が金を出して雇っておく者が、雇主を罪にするなどときてはこれまた立派な気狂(きちがい)で
ある。
次に眼を転じて真中を見ると真中には大分県(おおいたけん)が宙返りをしている。伊藤博文でさえ
逆か立ちをするくらいだから、大分県が宙返りをするのは当然である。
主人はここまで読んで来て、双方へ握(にぎ)り拳(こぶし)をこしらえて、これを高く天井に向けて突き
あげた。あくびの用意である。