苦労して学び、学んだことを勉めて実行する、という意味です。
『中庸』第20章を出典としています。
第20章は、『中庸』の中でも一番長文です。
人として弁えているべきことが五つあります。
道‐① 君主と臣下との間の道
道‐② 父と子との間の道
道‐③ 夫と妻との間の道
道‐④ 兄と弟との間の道
道‐⑤ 友達同士の交際の道
そうしてこの五つの『道』を実践するための手段が三つあります。
『知』と『仁』と『勇』です。まとめて『德』と言ってます。
五つと三つをあわせて、『道徳』です。この『道徳』は、
知‐① 或生而知之。 或いは生れながらにして之(これ)を知り、
生まれつきにそれを弁えている人もあれば
知‐② 或學而知之。 或いは学びて之を知り、
学習して弁える人もあり
知‐③ 或困而知之。 或いは困(くる)しみて之を知り、
苦労して、はじめて弁える人もある。
弁えてしまった段階では、みな同じである。次は実行である。
行‐① 或安而行之。 或いは安んじて之を行い、
自然に楽々とそれを実行する人もあれば、
行‐② 或利而行之。 或いは利して之を行い、
良いことだからと意識して行う人もあり、
行‐③ 或勉強而行之。 或いは勉強して之を行う。
努力を重ねて行う人もある。
知‐①と 行‐①が 【生知安行:セイチアンコウ】 生まれつき道を弁え楽々とそれを実行すること。
知‐②と 行‐②が 【學知利行:ガクチリコウ】 学習して弁え意識して行うこと。
知‐③と 行‐③が 【困知勉行:コンチベンコウ】 苦しんで学び努力して実行すること。
以上が『中庸』第20章の内容です。