【陽關三畳】は【陽關の曲を三度(みたび)吟ずる】という意味です。
『陽關の曲』と言いますのは、「渭城の朝雨 軽塵を潤し」で始まる有名な別離の曲です。
盛唐の詩人王維(オウイ:699?~761)の『元二の安西に使するを送る』と題する詩です。
三度吟ずるやり方はいろいろあったそうです。
各句を繰り返し歌ったり、
第二句以下を三唱したとか、
第四句目の「故人無からん」を「無からん、無からん、故人無からん」と吟じたりとか。
日本でも人気のある詩です。
文人趣味のまだ残っていた昭和の初期あたりにはよく吟じられていたそうです。
原文と訓読と七五調を意識した私訳を記載しました。
読み下し文は大変調子がよろしいので暗唱をお勧めします。
送元二使安西 元二(ゲンジ)の安西(アンセイ)に使するを送る
渭城朝雨潤輕塵 渭城(イジョウ)の朝雨(チョウウ) 軽塵(ケイジン)を潤(うるお)し
朝の雨 土をしっとり濡らしおり
客舎青青柳色新 客舎(カクシャ)青青(セイセイ)柳色(リュウショク)新(あら)たなり
旅籠の前の青柳、清々しくも新たなり
勧君更盡一杯酒 君に勧(すす)む更(さら)に盡(つ)くせ一杯の酒
さあさ一杯、もう一杯
西出陽關無故人 西のかた陽關(ヨウカン)を出ずれば故人(コジン)無からん
陽關出(いず)れば 君一人。
自分用の『呆け防止・暗誦漢詩百選』(現在編集中)、に真っ先に取り入れました。
五言は、2句+3句の構成、
七言は、2句+3句+3句の構成になりますので、暗誦する助けになると思います。
渭城+朝雨+潤輕塵
客舎+青青+柳色新
勧君+更盡+一杯酒
西出+陽關+無故人