思い通りに物事が運ばなく、世に受け入れらないことを、嘆いている言葉です。
チャンスに恵まれず、運が悪いためか、才能があるのにそれに相応しい地位を得ていないことも嘆いています。
【轗軻不遇】は、【轗軻】と【不遇】、同義の熟語を重ねて意味を強調した四字熟語です。
車がうまく進んでいかない様子、ゆきなやむ様子を表す言葉を【カンカ】と言います。
文字化するときに【轗軻】が使われました。双声の擬態語と言います。
【轗軻】は道が悪く車がうまく進めないことから作られた熟語で、転じて物事が思い通りにいかないことのたとえにも使われます。
【遇】は、思いがけなく会う、が原義です。時世に合う、出世する、また願いがかなう、という意味にも使われます。ですから【不遇】は、世に受け入れられないで悩んでいることを表します。
『荀子』宥坐篇に、夫れ遇と不遇とは時なり、の文章があります。
文選巻二の古詩十九首 其の四に【轗軻】のままでいるのは嫌だ、コネを見つけてはやく自分の才能を展ばしたいものだ、という5言×14句の詩があります。9句目から14句目までを掲載します。
人生寄一世 人生の一世に寄すること
奄忽若飆塵 奄忽として飆塵の若し
人の一生は、風に飛ばされる塵のように、あっという間のことだ。
何不策高足 何ぞ高足に策うち
先據要路津 先づ要路の津に據らずして
自らの才能に鞭打って、まず要職にある人につてを求めるが良い
無為守貧賤 無為に貧賤を守り
轗軻長苦辛 轗軻 長しへに苦辛する
なにもしないで貧しさを守り、轗軻のまま苦労するのはごめんだ。