この世にある、あらゆるものはすべて同一のものである、という喩なのですが、荘子(人名の場合は、ソウシ)』独特の言い回しです。
荘子(書名の場合は、ソウジ)』齊物論の中にでている四字熟語です。
「斉物論」は「物を齊(ひと)しくする論」という意味で、あれだこれだという差別観を超えて万物は齊しいと言ってます。
口語訳は、直訳しましたので、何を言っているのか良くわからないと思います。
以 指喩 指 之 非 指 、
指を以て指の指に非ざるを喩(さと)すは、
現実の指によって、その指が真の指ではないことを説明するのは
不 若 以 非 指 喩指 之 非 指 也。
指に非ざるを以て指の指に非ざるを喩すに若(し)かざるなり、
現実の指ではないものによってそのことを説明するのには及ばない
以 馬喩 馬 之 非 馬 、
馬を以て馬の馬に非ざるを喩すは、
現実の馬によって、その馬が真の馬ではないことを説明するのは
不 若 以 非 馬喩馬 之 非 馬 也 。
馬に非ざるを以て馬の馬に非ざるを喩すに若かざるなり
現実の馬ではないものによってそのことを説明するのには及ばない
天 地 一 指 也 、
天地は一指なり、
天地も一本の指である
萬 物 一 馬 也 。
萬物は一馬なり。
万物も一頭の馬である
動物も植物も細胞がもとになって、その細胞がいくつか集まって組織体になり、そこからいろんな動植物の形になっていく、と考えますと「齊物」という考えも理解できます。もっとも荘子の時代には細胞なんて考えはありません。私が勝手にそう思っているだけです。