【杯酒(ハイシュ)に怨みを解く】と訓読みされまして、互いに盞(さかずき)を酌み交わしている間に昔の怨みを忘れてしまうことを表した言葉です。酒のおかげで旧怨を水に流すことが出来るのです。
『唐書』張延賞(チョウエンショウ)傳にあるお話です。【杯酒解怨】そのままの形ではありませんが。
唐の肅宗(756~763)の側近:張延賞は、名将:李晟(リセイ)と仲が悪かったが、肅宗のはからいで
和解することになり、李晟は息子のために張延賞の娘を迎えようとしましたが、張延賞は反対してました。
晟曰吾武夫雖有舊惡盃酒閒可解。
晟曰く、吾は武夫、旧惡有りと雖(いえど)も、盃酒の閒解くべし。
李晟が言いました。
わたしは武人であるから、昔のにくしみなどは、酒を酌み交わす閒に忘れてしまいます。
儒者難犯外睦而内含怒。
儒者は犯し難く、外睦(むつ)みて内に怒りを含む。
儒者と言う者はなかなかなもので、外面は和やかでも内面に怒りを含んでいる。
今不許婚釁未忘也。
今婚を許さざるは、釁(キン)未だ忘れざるや、と。
今、結婚を許さないというのは、むかしの釁(なかたがい)を忘れないからなんでしょうな。