【老(ロウ)より少(ショウ)を視る】と訓読みされまして、
老人になった時の気持ちで若い人たちを視る。という意味です。
立場を換えてものを視ると、別の見方が出来るのは当たり前ですが、いろいろな見方によって、より本質の理解へ近づくことが出来る、というような意味です。
人は若い時に老後を思い、全盛の時に(難しいかもしれないが)衰えた時のことを思うべきである。
これが『菜根譚』の謂わんとするところです。
『菜根譚・後集』57條にでています。
自老視少、
老より少を視れば、
老人になった時の気持ちで若い人たちを視る。と
可以消奔馳角逐之心。
以て奔馳角逐(ホンチカクチク)の心を消すべし。
馳けまわり追い争っている気持ちを、消すことができよう。
自瘁視栄、
瘁(スイ)より栄を視れば、
落ちぶれたときの気持で、栄えている暮らしを視ると、
可以絶紛華靡麗之念。
以て紛華靡麗(フンカビレイ)の念を絶つべし。
うわべだけのはなやかな栄華を求める気持を、絶ちきることができよう。