試験に合格した後、しみじみと感じる春風はなんと心地よいことなんだろうという、得意満面の気持ちを表している四字熟語です。
中唐の詩人孟郊(モウコウ:751年~814年)の「登科の後」という七言絶句の中にこの【春風得意】が出てきます。
原文 読み下し文 私 訳
昔日齷齪不足誇 昔日の齷齪(アクセク)誇るに足らず 苦労はあれこれ言いません
今朝放蕩思無涯 今朝放蕩(ホウトウ)として思(おもい) 今朝の嬉しい気持ち、どこまでも
涯(はて)無し。
春風得意馬蹄疾 春風意を得て馬蹄(バテイ)疾(はや)し、 馬上にありて、得意満面
一日看尽長安花 一日看(み)尽くす長安の花。 長安の牡丹、一日にして見尽くす。
孟郊が科挙の試験に受かって嬉しくてしょうがないという気持ちを詠った詩です。
それもそのはず合格したのは46歳の時なんですから、二浪三浪の騒ぎじゃないんです。そりゃ嬉しいはずです。
科挙は隋代の598年に始まり清代の1905年に廃止されるまで1300年以上も続いた試験制度です。 最終的に合格して進士となれる者は数千人に一人の割合でした。
46歳にして進士に合格したのは良いんですが、人付き合いが苦手で、役人としては出世せず一生不遇だったそうです。韓愈と交流があったようです。ほかに代表作「遊子吟」があります。こちらの詩には【春寒料峭】の四字熟語が使われています。
新入社、新入学、の皆さん今日からスタートです。初心を忘れずに頑張って下さい。
特に新しく国家公務員になられた方達は 『国民の安心、安全、豊かな生活を実現するために働く』という崇高な志をお持ちと、うかがっています。
悪に染まることなく、その気持ちをずっと持ち続けて下さい。
国民の税金から高い給料を貰うのですから、将来天下りの話が来ても、潔く蹴って下さい。
2012・4・1 記