暖かい服を着、飽きるほど食べる、何の不足もない生活を言います。
『孟子』滕文(トウブン)公・章句・上を出典としています。
人は、衣食が充分あって、ぶらぶらしていて教育を受けないと、鳥獣と何等変わらなくなるものだ、という意味を込めた四字熟語です。
ですから『飽食煖衣』は『孟子』のなかでは、あまりいい意味では使われていません。
人之有道也、飽食煖衣、逸居而無敎、則近於禽獸、
人の道有る、食に飽き、衣を煖かにし、逸居して敎うること無きときは、則ち禽獸に近し。
人というのは、衣食が充分あってぶらぶら怠けていて何等教育を受けないと、
ケダモノと大して変わりがない。
聖人有憂之、使契爲司徒、敎以人倫、
聖人之を憂うること有りて、契をして司徒爲らしめて、敎うるに人倫を以てす。
そこで、聖人(舜)はまたこのことを心配して、契(セツ。殷王朝の祖先)を
司徒(シト。文部大臣)に任命して、人間としての道を教えさせた。
①父子有親、
父子親有り、
父子の間には親(しん)を、
②君臣有義、
君臣義有り
君臣の間には義(ぎ)を、
③夫婦有別、
夫婦別有り、
夫婦の間には別(べつ)を、
④長幼有敍、
長幼敍有り、
長幼の間には敍(じょ)を、そして
⑤朋友有信、
朋友信有り。
朋友の間には信(しん)を設定したのであった。
これらを「五倫:ゴリン」と言います。