氷や玉のように清らかで汚れのない心の譬えです。
『菜根譚』前集第13章に述べられています。
藜口莧腸者、多氷清玉潔。
藜口莧腸(レイコウケンチョウ)の者は、氷清玉潔(ヒョウセイギョッケツ)多く、
あかざや山ゴボウを食べて粗食に甘んじている人は、氷や玉のような清く汚れのない
心の持ち主が多いが
袞衣玉食者、甘婢膝奴顔。
袞衣玉食(コンイギョッケツ)の者は、婢膝奴顔(ヒシツドガン)に甘んず。
美衣や美食を求める人は、奴婢が自分にへつらいしたがうのに甘んじてしまう。
(自己を見失ってしまう)
蓋志以澹泊明、而節従肥甘喪也。
蓋(けだ)し、志は澹泊(タンパク)をもって明らかなるも、節は肥甘(ヒカン)より
喪(うしな)うなり。
思うに人としての志は、淡白で質素な生活により磨かれていくものであるが、
その節操は、美食で贅沢な生活により失われるものである。