【極安楽の法】と訓読みしまして、世渡りの極意は「譲る心」である。 と『菜根譚』の著者洪自誠(コウジセイ)さんは言ってます。
經路窄處、留一歩與人行、
経路(ケイロ)の窄(せま)き処(ところ)は、一歩を留めて人の行くに与(あた)え、
通る道の狭いところでは、一歩立ち止まって、先に相手を行かせ、
滋味濃的、減三分讓人嗜。
滋味の濃(こまや)かなるものは、三分を減じて人の嗜(たしな)むに譲る。
美味しい食べ物は、自分は腹七分にしておいて、三分ぐらいを相手に譲ってやる。
此是渉世一極安樂法。
此れは是れ、世を渉(わた)る一の極安楽の法なり。
このような気持、態度がこの世をわたるための極めて安らかで楽しい方法である。