一度約束した以上は必ず守るという四字熟語です。類義の四字熟語に【季布(キフ)一諾】があります。
一度交わした約束を必ず守るのは、前漢(B.C.202~A.D.8)初期の侠客:季布(キフ)でした。もとは楚の人で項羽に将軍として仕え、劉邦を散々に苦しめました。項羽が敗れると、高祖(劉邦)は千金の賞金をかけて季布を捜させました。
だが彼を知る者はあえて彼を売るようなことをせず、そればかりか、高祖に取りなしてくれました。
赦されて郎中となり、次の恵帝のときには中郎将(チュウロウショウ:近衛兵をつかさどる官)となりました。
季布は当時の人々から、『黄金百斤を得るも、季布の一諾を得るに如かず』
黄金百斤を得るよりも、季布の「承知しました」の一言を得た方がよい。
とまで言われていたそうです。
唐初の政治家・魏徴(ギチョウ)に『述懐:懐(おも)ひを述(の)ぶ』という五言古詩に、【季布(キフ)一諾】と同意の、【季布無二諾:季布にニ諾(ニダク)無し】の句があります。
『述懐』は五言×20句です。15句から20句を記載します。
15 豈不憚艱險、 豈(あ)に 艱險(カンケン)を 憚(はばか)らざらん、
険しい旅路をものともせず、
16 深懷國士恩。 深く 國士の恩を 懷(おも)ふ。
殿の御恩の国士の待遇。
17 季布無二諾、 季布に 二諾 無く、
季布に 二諾 無しといい、
18 侯嬴重一言。 侯嬴(コウエイ)は 一言を 重んず。
侯嬴の一言重しとす。
19 人生感意氣、 人生 意氣に 感ず、
人生 意氣に 感じ、
20 功名誰復論。 功名 誰(たれ)か復(ま)た論ぜん。
功名なんぞは関係ねえ。