【民を愛する者は強く、民を愛せざる者は弱し】、という一文からとられた四字熟語です。
為政者が国民を愛する国は強く、国民を愛してない国は弱い、と『荀子』議兵篇に書かれています。
その他にも国の強弱についていくつか例を挙げて荀子は力説しています。
彊は、弓+畺(音符号:キョウ)から作られた、形声文字です。意味は①つよい弓。②つよい。③つとめる。
です。似たような字に「疆:キョウ。さかい・境界」がありますが、別字です。
愛民者彊,不愛民者弱
民を愛する者は強く、民を愛せざる者は弱し。
為政者が国民を愛する国家は強いが、愛しない国家は弱く、
政令信者彊,政令不信者弱
政令の信なる者は強く、政令の不信なる者は弱し。
政令が誠実である国家は強いが、政令の不誠実な国家は弱く、
民齊者彊,民不齊者弱
民の齊(ひと)しき者は強く、民の不齊しからざる者は弱く、
国民が統一されている国家は強いが、統一されていない国家は弱く
賞重者彊,賞輕者弱
賞の重き者は強く、賞の輕(かろ)き者は弱し。
賞与を手厚くする国家は強いが、出し惜しみする国家は弱く、
刑威者彊,刑侮者弱
刑の威ある者は強く、刑の侮(あなど)らるる者は弱し。
刑罰に威厳のある国家は強いが、軽蔑される国家は弱い。
荀子が趙の孝成王と楚の将軍臨武君の前で兵(戦)を論じた「議兵:兵事を論ずる」篇の一節です。
心底、国民を愛していないから、憲法に違反してまでも、他国の戦争に加担する法律を通してしまうんですね。