【前事を忘れざるは、後事の師なり】と言いまして、以前に起こったことや行なったことを忘れなければ、これからの参考になるし、手本にもなり得る。
『史記』秦始皇本紀の一文です。
大史公曰くの書き出しで、司馬遷が賈誼(カギ)の『過秦論』を引用している部分が有りまして、その中に【前事之不忘,後事之師也】の文章で、でています。
野諺曰「前事之不忘、後事之師也」。
野諺(ヤゲン)に曰く、「前事をこれ忘れざるは、、後事の師なり」。
世の諺に「前事を忘れないのは、後事の戒め」とあるように
是以君子為國,觀之上古,
是(ここ)を以て君子の國を為(おさ)むるや、之(これ)を上古に觀(み)、
君子が国を治めるときは、大昔をかんがみ、
驗之當世,參以人事
之を當世に驗(ため)し、參(サン)ずるに人事を以てし、
これを当世に照らし合わせ、人事を参照して
察盛衰之理、審權勢之宜、
盛衰の理を察し、權勢の宜を審(つまび)らかにし、
盛衰の道理を考えて、権勢のよろしきを明らかにし
去就有序、變化有時、
去就に序有り、變化に時有り、
去就を過(あやま)たず、時に応じて変化する。
故曠日長久而社稷安矣。
故に曠日(コウジツ)長久(チョウキュウ)にして、社稷(シャショク)安(やす)らかなり。
このため長く持続して国家は安らかなのである。