【悶絶(モンゼツ)して地を躄(いざ)る】と訓読みされまして、非常に苦しむことの形容です。
【悶絶】は、もだえ苦しんで気絶してしまうことです。
【悶】の部首は「心」です。ついでに【問】の部首は「口」です、【聞】の部首は「耳」です。
【躄地】は、両足で立つことができず、地をはいまわることです。
【躄】は、辟+足から作られた形声文字です。部首は「足」です。
『平家物語』入道死去に【悶絶躄地】がでていました。
もしや助かると、板に水を置きて、伏し転(まろ)び給へども、助かる心地もし給はず。
ひょっとして助かるかと、板に水を流して、清盛をそこに横たえましたが、
助かるようには思えませんでした。
同じき四日の日、悶絶躄地して、終(つひ)に熱(あづ)ち死ににぞし給ひける。
同じ四日、悶絶躄地して、終に熱死してしまいました。
馬車の馳せ違ふ音は、天も響き大地も揺るぐばかりなり。
馬車が急ぎ行き交う音は、天にも響き大地も揺るがすほどでした。
一天の君、万乗(バンジョウ)の主(あるじ)の、いかなる御事ましますとも、
これにはいかでか勝るべき。
一天の君(天皇)、万乗の主(天下を治める将軍)に、一大事があったとしましても、
これに勝るものではありませんでした。
今年(コンネン)は六十四にぞなられける。
清盛は今年六十四でした。