見聞の狭いことのたとえを言った四字熟語です。
【尺澤(沢)】は、小さな池です。
【鯢】は、サンショウウオのことを言いますが、【尺澤之鯢】の場合は、小魚の意味です。
宋玉(ソウギョク)の『楚王の問ひに對(こた)ふ』にでている四字熟語です。
楚の頃襄王(ケイジョウオウ:B.C.299年~B.C.263年)が宋玉に
『先生は何か行ないに欠けているところがおありなのか。士人や人民が称賛することのなんと乏しいことよ』と、
問いかけたことに対する、返書が『對楚王問』です。
鯤魚朝發崑崙之墟、
鯤魚(コンギョ)は朝(あした)に崑崙(コンロン)の墟(キョ)を發(ハッ)し、
鯤魚は朝に崑崙の墟を出て、
暴鬐於碣石、暮宿於孟諸。
鬐(キ)を碣石(ケッセキ)に暴(さら)し、暮(くれ)に孟諸(モウショ)に宿す。
たてがみをなびかせて碣石を通り過ぎ、夕方には孟諸に宿るのであります。
夫尺澤之鯢、
夫(そ)れ尺澤(セキタク)の鯢(ゲイ)、
あの小さな水溜りにいる小魚に、
豈能與之量江海之大哉。
豈(あに)能(よ)く之(これ)と江海(コウカイ)の大を量(はか)らんや。
どうして江海の広さを量ることができるでしょうか。
類義の四字熟語に
【坎井之蛙】 カンセイのア
【井底之蛙】 セイテイのア
【夜郎自大】 ヤロウジダイ
があります。