『世を経(おさ)め、民を済(すく)う』と訓読みされます。
【経】は「たていと」を原義(もともとの意味)として16種類の意味を持っています。その中に「おさめる、統治する」という意味がありまして、世を経(おさ)める、と言うことで【経世】です。
民を救済する、と言う意味で【済民】です。
【経世済民】は「世の中を治め、国民の苦しみを救うこと」を、表す四字熟語です。 またそうした政治を言うことが、そもそもの意味でした。略して【経済】です。
【経世】は『荘子:斉物論』に出ています。
春秋の経世、先王の志は、聖人は議するも弁ぜず。
〈訳〉 諸国の歴史にみる政策や古代の王の記録について、聖人は議論はしても(善し悪しの)分別はしない。
【済民】は『書経:武成』に出ています。
惟(こ)れ爾(なんじ)有神、尚(ねが)はくは克(よ)く予(われ)を相(たす)けて、以て兆民を濟(すく)ひ神の羞(シュウ)を作(な)す無(なか)らんことを。
〈訳〉 有神よ、私に協力して万民を救い、神に恥かしくないようにしなければいけない。
【経世済民】の略語としての【経済】は『抱朴子(ホウボクシ):東晋の葛洪(カッコウ)の著で道教の書』や『文中子:隋の王通(オウツウ)の著で論語にまねて作った書』に出ていますが、世を経(おさ)め、民を済(すく)うと、同じ意味で使われています。
ところが現在では、英語の「エコノミー」の訳語として【経済】が用いられ、国民をすくう、などと言う意味はこれっぽっちもありません。
2012・3・25 記