1月16日と7月16日は閻魔賽日(エンマサイジツ)と言って、地獄の釜の蓋が開いて鬼も亡者も休むとされる日だそうで、【賽日:サイジツ:サイニチ】とは、「藪入り:やぶいり」にあたり、閻魔(エンマ)に参詣する日のことだそうです。
お寺では『十王圖』や『地獄相變圖』を拝んだり、閻魔堂に参詣したりするそうです。
閻魔は、地獄にいて亡くなった人の罪を裁く10人の裁判官(十王)の一人だそうです。
十王というのは、秦広王、初江王、宋帝王、五官王、閻魔王、変成王、泰山王、平等王、都市王、五道転輪王、のことで、人の死後初七日から七日ごとに最初の王から順にに裁かれ 五×七日=三十五日目 に閻魔王のところで最も重要な、六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)の何処に生まれ変わるかを閻魔王が決定するのだそうです。だから、閻魔王は十王の中心的な裁判官といった存在のようです。
子供の頃、「ウソをつけば、閻魔さんに舌を抜かれるよ」などと言われたことがあります。
それ以来ウソをつかなくなりました ・・・・・・。
今昔物語 第20巻 第45話 「小野(おの)篁(たかむら)、情に依り西三条の大臣を助くる語」 に閻魔王と小野篁の面白い話が載ってます。少し長いですが全文口語訳で記載します。
昔、小野篁と言う人がいました。
まだ学生の頃、罪を犯してしまい罰せられる事になりましたが、 その時、西三条大臣藤原良相
(よしみ)という方が、宰相として、何かにつけて篁をかばい、難を逃れる事が出来ました。
篁はその事を有り難いことだと思い、良相に大変感謝しました。
何年か経ってから、篁は宰相に、良相も大臣になりました。
そのうち、良相は重病となり、しばらくたって亡くなってしまいました。 良相は閻魔王の使に
つかまり、閻魔王宮に連れていかれ裁判を受けることになりました。
裁判員の中に小野篁を見つけました。良相はこれはいったいどうしたことだろうか、と思っていると、
篁は閻魔王に「この方は、心の正直な人で、人の為になる方です。 今度の罪は私に免じて
許してもらえないでしょうか」と言いました。
閻魔王は 「それは難しい事だが、篁がそう言うなら許してやろう。」と答えました。
篁が良相を捕らえた者に「すぐに現世に連れ帰りなさい。」と言うと、 良相は、目覚め、自分の部屋
にいたのでした。
その後、良相は病も癒え内裏に上がりました。 そしてある時誰もいないことを確かめて篁に尋ね
ました。
篁は、 「先年の御親切が有り難く、そのお礼をしただけですよ。 ただしこの事は誰にも言わないで
くださいね。」と答えました。
良相はこれを聞いて 「篁は只の人ではない、閻魔王宮の臣だ。」と知り、いよいよ恐れ、
「人に対しては情けをかけてやるべきだ」と、いろんな人に説いてまわりました。
しばらくするとこの事は自然に世間の知る所となり、
「篁は閻魔王宮の臣として、この世との間を行き来している人なのだ」と、 皆、恐ろしがった
という事です。