【首(こうべ)を俛(ふ)し耳を帖(た)る】と訓読みされまして、人に媚びるいやしい態度のたとえです。
【俛首】は、頭を伏せるこです。 【帖耳】は、耳を垂れることです。
韓愈(カンユ)の『科目に応ずる時人に与うる書』のなかの一文です。
且曰、爛死於沙泥吾寧樂之。
且(か)つ曰く、沙泥(サデイ)に爛死(ランシ)すとも、吾(われ)寧(むし)ろこれを楽しまん。
たとえ砂泥の中で渇き死んでもむしろそれを誇りに思います。
若俛首帖耳搖尾而乞憐者、
首(こうべ)を俛(ふ)し耳を帖(た)れ、尾を揺(ゆ))るがして憐れみを乞うが若きは、
首を下げ耳を垂れて尾を振って哀れみを乞うこと
非我之志也。
我の志に非らざるなりと。
私の志ではありまあせん。
韓愈26歳(792年) 科挙の試験を受けるときに、試験官に送ったのが
『科目に応ずる時人に与うる書』でした。
当時は、受験者が試験官に詩文をおくるのは普通に行われていたようです。