【危うきこと旦夕(タンセキ)に在り】と訓読みされまして、危機が今朝か今夜かというところに来ている。
危機が眼前に迫っていることをいいます。
【旦夕:タンセキ】は、①朝夕、②いつも。ふだん。つねづね。 ③切迫すること。④極めて短い時間。
の意味がありますが、【危在旦夕】の場合は、③切迫すること、の意味になります。
『三国志演義』二回の一場面です。
ある日、霊帝が宮中の庭園で十人の側近たちと酒宴を催した時、諫議大夫劉陶(リュウトウ)が、
御前に出て大声で泣いた。帝がそのわけを尋ねると、劉陶が、
天下危在旦夕。
天下の危ふきこと旦夕に在り。
天下の危機が眼前に迫っておりますのに、
陛下尚自与閹宦共飮耶。
陛下尚(な)ほ自ら閹宦と共に飮するやと
陛下はなお宦官どもと酒宴を開いておいでですか。
と言った。