【昊天(コウテン)極まり罔(な)し】と訓読みされまして、報いようと思っても、報いきれない、果てしがない父母の恩を言った四字熟語です。
【昊天】は大空の意味です。
『詩経』小雅(ショウガ)/蓼莪(リクガ)篇にでています。
6章32句よりなる詩です。【昊天罔極】に至る詩句を記します。
父兮生我 父や我を生じ
父が私を生み、
母兮鞠我 母や我を鞠(やしな)う。
母が私を育てた。
拊我畜我 我を拊(な)で我を畜(やしな)い
私をなでかわいがり愛し、
長我育我 我を長じ我を育つ。
私を成長させ私をかばい育て
顧我復我 我を顧み我を復し
私に目をかけ私を庇護し、
出入腹我 出入に我を腹(いだ)く。
外でも中でも私を抱きかかえてくれた。
欲報之徳 これが徳に報いんと欲するも
父母の恩徳に報いようと思うけれど、
昊天罔極 昊天(こうてん)極まり罔(な)し。
報いきれない、果てしない父母の恩である。
父母の恩の広大さを詠っている詩です。
この詩が作られたのは、今から2700年程前、西周末期幽王(ユウオウ)の時代でした。
幽王が褒姒(ホウジ)という妃(きさき)に現(うつつ)を抜かし、国を蔑(ないがし)ろにしていた、そういう時代でした。