【破邪顕正】とは、仏教語で、不正や誤った考えを打破し、正義を明らかにすること、と言う意味です。
【破邪】とは、邪説・邪道を打ち破ることを言います。
【顕正】とは、正しい仏の教えをあらわし、明らかにすることです。
【正】を「ショウ」と読むのは呉音読みです。仏教関係の書物に多い読み方です。
【破邪顕正】は、中国三論宗の吉蔵が『三論玄義』において、三論の要旨を【破邪】と【顕正】の二つに分類して説いた言葉です。その『三論玄義』には
論三有りと雖も、義は但だ二轍(正しい意味は二つ)。
論に三つあると言うけれど、正しい意味は二つ
一に曰く顕正、二に曰く破邪。
一つは【顕正】、もう一つは【破邪】。
破邪は則ち下沈淪(沈んでいる者)を拯(すく)ひ、
邪を破れば人々を救い
顕正は則ち上大法を弘む、とみえる。
正を顕(あらわ)せば、大法を広めることが出来る
芥川龍之介の短編『るしへる』に【破邪顕正】の四字熟語が見えます。
この記事が流布本に載せられていない理由は、恐らくその余りに荒唐無稽に類する所から、
こう云う【破邪顕正】を標榜する書物の性質上、故意の脱漏を利としたからでもあろうか。