内心はびくびくしながら、虚勢を張って相手をおどすことを表す四字熟語です。
【恫疑】は恐れてためらうことを表します。
【虚喝】は虚勢を張っておどすことを表します。
【恫疑虚喝】を略したのが【恫喝:ドウカツ】です。
中国の戦国時代後半、蘇秦(ソシン:?~B.C.284?)という遊説家がいました。どこかに職を見つけようと、今でいう「就活」を始めました。
戦国末期、7つの国が乱立状態でした。秦が一番強く、残り六国は常に【戦戦兢兢:センセンキョウキョウ】の状態でした。蘇秦はまず秦に就活を計りました。
蘇秦は洛陽の人でした。秦では国外の弁舌の士にはエラク迷惑を蒙(こうむ)っていましたので、一も二もなく御断りの話でした。
それならばと、蘇秦は【戦戦兢兢】の六国をまとめて秦を攻める【合従】を建策し、燕を始めとして、趙→韓→魏→斉→楚 を歴訪し、とうとう合従の盟約を成立させ、自らは六国の宰相におさまりました。
【恫疑虚喝】は斉に赴(おもむ)いて宣王(センオウ:B.C.319~B.C.301)に説いていた時の話にでてきます。『史記・蘇秦列伝、張儀列伝』
『 ・・・。それに、秦が斉の地に深く侵入しようとしても、たとえば狼が走る時に常にびくびくしながら後ろを振り返るように、背後から韓・魏がおびやかすのではないかと恐れなければいけません。ですから秦は自ら恐れ疑い、虚勢を張って斉をおどし、傲慢(ごうまん)な態度をとるだけで、敢て侵入はしてきません。すなはち、秦が斉を侵害しえないのは、明らかです。』
その後、蘇秦と同門で秦の大臣となっていた張儀(チョウギ:?~B.C.309?)の活躍により六国の合従は破れ、歴史の流れはB.C.221年秦、中国を統一し36郡を置くことになりました。
原発再開に向けての動きは、国民に対する見えない【恫疑虚喝】じゃないでしょうか。
2012・3・21 記