【経(ケイ)を枕にし書を藉(し)く】と訓読みされまして、読書にふけることを表します。
【枕経】は、経書を枕にすること、
【藉書】は、書物を敷き物にすること、を表します。
『漢書』の編纂者として一般に知られている班固(ハンコ)を、或る人が
班固は篤志博学なりと雖も、時に功労無く、仕えて富貴ならざる
と譏(そし)りました。
それにたいして班固は「賓(ヒン)の戯(たわむ)るに答ふ」という文章をまとめました。
【枕経藉書】は、その中の一文です。
徒樂枕經藉書、紆體衡門。
徒に経に枕し書を藉き、體を衡門に紆ぐるを樂しむ。
ただ経籍を枕とすることに溺れ、宮中に身を狭くして在ることだけを楽しみ、
上無所蒂、下無所根。
上に蒂する所無く、下に根ざす所無きのみ
人に示す物もなく、これこそ拠り所だとするものもない。
昭和30年(1955年)5月24日、広辞苑初版発行の日です。
現在は、第六版となっています。