困難に出会い、つらく苦しい思いをすることをいいます。
【艱】、【難】 は、ともに、苦しみ、困難、難儀を表わします。
【辛】、【苦】 は、ともに、つらく、苦しいことを表わします。
いずれも類義の二語を重ねることで、意味を強調するとともに、それらが繰り返されるということも表しています。
【艱難汝を玉にす】と言う言葉があります。これは
Adversity makes a man wise. 逆境が人を賢くする
の意訳です。
『金色夜叉』後篇の最後の章で、貫一、お宮、満枝による修羅場で、お宮のセリフです。
さう為(し)たら、私は今度の世には、どんな【艱難辛苦】を為(し)ても、きつと貴方に
添遂(そひと)げて、この胸に一杯思つてゐる事もすつかり善く聴いて戴(いただ)き、
又この世で為遺(しのこ)した事もその時は十分為てお目に掛けて、必ず貴方にも
悦(よろこ)ばれ、自分も嬉(うれし)い思を為て、この上も無い楽い一生を送る気です。
『金色夜叉』は尾崎紅葉 最期の作品です。新續篇:金色夜叉が最期でした。