ほんの僅かな、短い春の夜の夢のように,はかなく消えてしまう様子をあらわした言葉です。
【一場】は、① 一つの場所、また同じ場所。
② ひととき。その場かぎり。
の意味があります。【一場春夢】の場合は ②の意味です。
【春夢】は、① 春の夜の夢
② 人生のはかないことのたとえ
の意味があります。【一場春夢】の場合は ②の意味です。
北宋の趙徳麟(チョウトクリン)が編纂した『侯鯖録:コウセイロク』という書の中にある四字熟語です。
唐宋時代を中心に、故事・詩話・古人の言行などを集めたものです。『侯鯖』は寄せ鍋の意味です。。
『侯鯖録』の卷七にあります。
東坡老人在昌化、
東坡(トウバ:蘇軾)老人昌化(ショウカ)に在り
蘇軾が昌化に住んでいたとき
有老婦年七十、謂坡云
老婦有り、年七十、蘇軾に謂いていわく
七十の老婆が蘇軾に言いました
内翰昔日富貴、一場春夢」。坡然之。
内翰(ダイカン)の昔日の富貴、一場春夢なり。
お前さん、昔は偉い学者のお役人さんで、金持だったんだね。
今じゃ夢のようなもんだね。
坡然之。
坡、之を然(しか)りとなす。
蘇軾は、うなずいた。