【緑葉、陰を成す】と訓読みされまして、影ができるほどに緑の葉が生い茂るという意味から、女性が嫁いで、多くの子を産み育てることのたとえです。
晩唐の詩人杜牧(803年~853年)にまつわるエピソードから生まれた四字熟語です。
ある年の春、知り合いの湖州刺史が、杜牧を舟遊びに招待してくれました。
近くを通った10歳ほどの少女に一目ぼれをしてその母親に言いました。
今しばらくは無理だが、後で少女を貰い受けたい。
十年経っても来ないようだったら、ほかへ嫁いでもよい
たくさんの結納金を渡し、約束して別れました。
849年に湖州刺史となって、あの少女のいる郡に行きました。ところが、婚約者であるあの少女は、結婚してすでに三年になって、子どもも三人できていました。
約束したのに何故嫁がせた、と
杜牧はその母親を詰(なじ)りました
母が言うには
十年経っても来られなかったので嫁がせました。嫁いでから、もう三年になります。
杜牧は無念を隠しきれず、『花を歎く』という七言絶句をつくりました。結句に【綠葉成陰】が詠われています。
自是尋春去校遲
自ら是(ぜ)とし 春を尋ぬるに 校(えだ)を去ること 遲く
自らをよしとし、春を探しに出掛けた時、既に遅かった。
不須惆悵怨芳時
須(すべから)く 惆悵(チュウチョウ)として 芳時を怨むを。
(花盛りの時訪れなかったことを)嘆き、恨み、悔やむしかない。
狂風落盡深紅色
狂風 落とし盡す 深紅の色
激しい風が、(美しかった)深紅の花をすべて落とした
綠葉成陰子滿枝
綠葉 陰(かげ)を成して 子 枝に滿つ
影ができるほどに緑の葉が生い茂り、枝には豊かに実を付けている。
5月4日は 自然に親しみ、自然の恩恵に感謝しましょうということで【みどりの日】です。