顔つきが穏やかなことをあらわします。
【眉目】は、マユと目で顔かたちの意味です。
【温厚】は、穏やかで情に厚いことをいいます。
尾崎紅葉『金色夜叉』前篇・第六章の一節です。
お宮さんのお父さんの描写です。
齢(よはひ)はなほ六十に遠けれど、頭(かしら)は夥(おびただしき)き白髪(しらが)にて、
長く生(お)ひたる髯なども六分は白く、容(かたち)は痩せたれど未(いま)だ老の衰も見えず、
【眉目温厚】にして頗(すこぶ)る古井(こせい)波無(なみな)きの風あり。
『金色夜叉』は明治時代の代表的な小説で、
読売新聞に明治30年(1897年)1月1日~明治35年(1902年)5月11日まで連載。
前編、中編、後編、続金色夜叉、続続金色夜叉、新続金色夜叉の6編からなっています。
執筆中に尾崎紅葉が死亡したため未完成となっています。
紅葉門下の小栗風葉が明治42年(1909年)に「終編金色夜叉」を書き継ぎました。