いくつかのものが混じり、溶け合って区別がつかないさまをいう四字熟語です。
【渾】は、氵+軍 から作られた形声文字です。音は「コン」です。
意味は、水に関係する ①にご・る、②水の湧き出る音、③水たまり、と
「一つになること」を表わす、④まじる、⑤すべ・て、③大きい、④まるい、があります。
【然】は、肉+犬+灬 から作られた会意文字です。犠牲として供えられた犬の肉を焼く形が【然】です。
「もえる」が原義でしたが、状態を表わす「しかり」という助字で専ら用いられました。
ですから【渾然】も、混じって一つになった状態、と言う意味になります。
「もえる」に対しては、然に火をつけた「燃」が作られました。
【一体】は、一つのものと言う意味で、【渾然】と同じ意味です。
【渾然】と【一体】で一つになった状態を強調しています。
韓愈の『襄陽于相公に上(たてまつ)るの書』に【渾然】が使われています。
閣下負超卓之奇材、
閣下、超卓の奇材を負ひ、
閣下は、卓出した、すぐれた才能を、お持ちになり
蓄雄剛之俊德、
雄剛の俊徳を蓄(やしな)ふ、
おおいなるしっかりとした徳を養われ
渾然天成、無有畔岸。
渾然天成、畔岸(=際限)有ること無し
才能と俊徳とが、自然として一体となりその発展は際限なし。