普段の立ち居振る舞いのことをいいます。
【行】は、あるくこと。
【住】は、とどまること。
【坐】は、すわること。
【臥】は、ふせること。
仏教では、【行住坐臥】を四つの威儀(法則にかなった振る舞い)として、出家修行者の守るべき戒律となっているようです。『四威儀:シイギ』と言うそうです。
世阿弥が体得し、開拓した芸術論を集成した『花鏡:カキョウ』に【行住坐臥】がでています。
申楽も種々の物真似は作り物なり。これを持つものは心なり。この心をば人に見ゆべからず。
もしも見えば、傀儡の糸の見えんがごとし。
かへすがへす、心を糸にして人に知らせずして万能をつなぐべし。
かくのごとくならば能の命あるべし。そうじて即座に限るべからず。
日々夜々、【行住坐臥】にこの心を忘れずして定心につなぐべし。
かやうに油断なく工夫せば、能いや増しになるべし。
この『花鏡』の「奧段」と呼ばれる最後の段に、有名な、「初心忘るべからず」が記載されています。