①文章や詩をひと息に完成させることを【一気呵成】といいます。
また、②物事を中断させないで、一息に終わらせることにも使われます。
【呵成】の【呵】は、大きく口を開けて息を吹きかける意味の字です。息を吹きかけるだけで完成してしまうようなようすを、【一気呵成】と言ってます。
【一瀉千里:イッシャセンリ】が同義の四字熟語です。
こちらは、【瀉】に「水が勢いよく流れ注ぐ」意味があることから、水が一気に千里もの距離を行くように、文章や弁舌が巧みで滞らないことのたとえに使われます。
夏目漱石の長編小説『吾輩は猫である』の中に2種類の【一気呵成】が記述されています。
第三章に、①文章や詩をひと息に完成させる【一気呵成】が
第七章に、②物事を中断させないで、一息に終わらせる【一気呵成】が使われています。
第三章
やがて「天然居士は空間を研究し、論語を読み、焼芋を食い、鼻汁を垂らす人である」と
言文一致体で【一気呵成】に書き流した、何となくごたごたした文章である。
『天然居士』は、漱石の親友米山保三郎の居士号です。29歳の若さで亡くなっています。
第七章
従って松の幹ほど滑らないものはない。手懸りのいいものはない。足懸りのいいものはない。
換言すれば爪懸(つまがか)りのいいものはない。その爪懸りのいい幹へ一気呵成に馳け上る。
馳け上っておいて馳け下がる。馳け下がるには二法ある。