酒色にふけり、自分の思うままな振る舞いをすることです。
【遊】は、辶+斿(音符号) から作られた形声文字です。
意味は①あそぶ、②ただよう、③おとこだて、です。
【冶】は、冫+台(音符号) から作られた形声文字です。
意味は①とかす、②かじや、③ねりあげる、④なまめかしい、です。
【遊冶】は、「ゆ・う/yu・u」+「や/ya」で構成されまして、出だしが「y」ではじまる
『双声』の擬態語です。
意味は、遊びにふける、とくに酒色にふけるです。
【放】は、方(音符号)+攵 から作られた形声文字です。
意味は①はな・す、②ほしいまま、③いたる、④ほうる、です。
【蕩】は、艹+湯(音符号) から作られた形声文字です。
意味は①水が漂い流れる、②ゆらゆらする、③広大な、④ゆるやか、⑤しまりがない、
⑥ほしいまま、酒色などにおぼれる、⑦みだす、⑧うごく、です。
【放蕩】は、「ほ・う/ho・u」+「と・う/to・u」で構成されまして、語尾が「u」でおわる
『畳韻:ジョウイン』の擬態語です。
意味は、ほしいまま、きまま、の意味ですが日本では「酒色に身をもちくずす」ことにも使われます。
【遊冶放蕩】は、『学問のすすめ』の中で2回でてきます。
第十四編
たとえば父母の指図を聴かざる道楽息子へみだりに銭を与えて、その【遊冶放蕩】を
逞(たくま)しゅうせしむるは、保護の世話は行き届きて指図の世話は行なわれざるものなり。
<現代語訳>
たとえば、父母の指図を聞かない道楽息子にむやみに金を与えて、その遊びや道楽を
助長するのは、保護の世話は行き届いてはいるが、指図の世話は行なわれていないものである。
第十七編
ゆえに交わりを広くするの要は、この心事をなるたけ沢山にして、多芸多能一色に偏せず、さまざま
の方向によりて人に接するにあり。
あるいは学問をもって接し、
あるいは商売によりて交わり、
あるいは書画の友あり、
あるいは碁・将棋の相手あり、
およそ【遊冶放蕩】の悪事にあらざるより以上のことなれば、友を会するの方便たらざるものなし。
<現代語訳>
交際の範囲を広くするコツは、関心を様々にもち、あれこれをやってひとところに偏らず、多方面で
人と接することにある。
ある者は学問をもって、
ある者は商売によって交う。
ある者は書画の友がいて、
ある者は囲碁・将棋の相手がいる。
およそ、放蕩のような悪いことでなければ、友人を持つ手段にならないものはない。