おごり高ぶり、人を見下し、思い上がる様子を表わした四字熟語です。
【傲】は、人+敖(ゴウ:音符号)から作られた形声文字です。
意味は、①おごる ②あなどる ③わがまま、です。
【慢】は、忄+曼(マン:音符号)から作られた形声文字です。
意味は、①おこたる ②あなどる ③おろそかにする ④おそい、です。
【傲慢】は、おごり高ぶって、人を見下す態度を表わします。
【不】は、花のめしべの子房の形を象って作られた象形文字です。はなぶさの意味で作られたのですが、
もっぱら「否定の助詞」として使われています。仮借(カシャ)の用法です。
【遜】は、辶+孫(ソン:音符号)から作られた形声文字です。
意味は、①のがれる②ゆずる③へりくだる④したがう⑥おとる、です。
【不遜】は、人にへりくだらないで、おもい上がる態度を表わします。
同義の四字熟語に
【傲慢無礼:ゴウマンブレイ】、【傲岸不遜:ゴウガンフソン】、【傲岸無礼:ゴウガンブレイ】
があります。
『学問のすすめ』十六編に【傲慢不遜】がでています。
今日世の有様を見るに
あるいは【傲慢不遜】にして人に厭(いと)わるる者あり、
あるいは人に勝つことを欲して人に厭わるる者あり、
あるいは人に多を求めて人に厭わるる者あり、
あるいは人を誹謗(ヒボウ)して人に厭わるる者あり。
いずれもみな人に対して比較するところを失い、己が高尚なる心事をもって標的となし、
これに照らすに他の働きをもってして、その際に恍惚(コウコツ)たる想像を造り、
もって人に厭わるるの端を開き、ついにみずから人を避けて独歩孤立の苦界に陥る者なり。
現代語訳(直前の3行)
どれもみな、他人と自分とを比較する基準を誤っているのだ。自分の高尚な考え(と思いあがった
考え)を基準にして、これを他人の働きと照らし合わせている。
じぶん勝手な理想像を基準にし、それで人に嫌われる原因を作って、最後には自分から他人を
避けるようになり、ついには孤独でくるしい状態におちいるのだ。